私もSpaceXのIPOに申し込んだ。
申し込んだのは100株。
結果は、3株当選だった。
数字だけを見れば、わずかである。
100株申し込んで3株。
けれど、当選結果を見たとき、私は不思議と悪くない気分だった。
投資として本格的にポートフォリオへ組み入れる対象にはならない。
それでも、SpaceXという宇宙へ向かう企業に、ほんの少しだけ参加する権利を得た。
それで十分なのかもしれない。
今回、申し込みを終え、そして当選結果を見て、あらためて感じた。
私にとってSpaceX IPOは、単なる個別株投資ではなかった。

久しぶりの個別株投資だった
昔と違い、今の私は個別株にほとんど関心がない。
実際、現在は一つも保有していない。
投資の主力は、個別株ではない。
私の資産運用の中心にあるのは、仮想通貨であり、ビットコインである。
いわば、私の艦隊の主力艦はビットコインだ。
だから、本来ならSpaceX IPOに大きく資金を入れる必要はない。
主力艦隊の編成を崩してまで、個別株に突っ込む必要もない。
投資として見れば、SpaceXに対して冷静に考えるべき点はいくつもある。
上場直後の株価は大きく動くかもしれない。
期待が先行すれば、急騰することもあれば、急落することもある。
どれほど夢のある企業であっても、株価は夢だけで動くわけではない。
それでも、私は申し込んだ。
申し込みを終えたあと、自分の中にあるワクワクした感覚に気づいた。
これは単なる値上がり期待なのだろうか。
それとも、もっと別のものなのだろうか。
そして、3株当選という結果を見たとき、その感覚はよりはっきりした。
私は、SpaceX株を投資成績目的で欲しかったわけではない。
宇宙へ向かう人類の航路に、ほんの少しだけ乗ってみたかったのだと思う。
守りを考える時期に、なぜ宇宙企業に惹かれるのか
人生の後半に差しかかると、どうしても現実的なことを考える時間が増えてくる。
これからの働き方。
生活費。
税金。
老後資金。
資産の守り方。
健康。
家族。
日々の固定費。
若い頃のように、勢いだけで何かに飛び込むわけにはいかない。
投資にしても同じである。
若い時のように、時間を大きく味方につける余裕も少なくなってくる。
大きく増やすことだけではなく、どう守るか、どう残すかを考える段階に入っている。
本来なら、こういう時期に新しい個別株へ申し込むことは、かなり慎重に考えるべき行動だと思う。
会社の同僚との最近の会話の中で、相手からSpaceXの話が出た。
私が申し込んだと言うと、「もうやめた方がいいよ」と、かなり現実的なアドバイスをしてくれた。
まあ、普通のサラリーマン感覚なら正しいのだと思う。
リスクのある個別株に、わざわざ今から申し込む必要があるのか。
上場直後は危ないのではないか。
宇宙企業と聞くと夢はあるが、投資としては冷静に見た方がいいのではないか。
そういう見方は、まったく間違っていない。
それでも、SpaceXという名前を見たとき、自分の中で明らかに何かが反応した。
ロケット。
衛星。
火星。
宇宙開発。
AI。
人類の活動領域を地球の外へ広げようとする企業。
これらの言葉に、私は今でも強く惹かれる。
それは、今回急に生まれた感情ではない。
昔からずっと、自分の中にあり続けたものだった。
私はずっと宇宙に興味があった
私は、これまでも今も、ずっと宇宙に興味がある。
子どもの頃だけの夢ではない。
若い頃の一時的な憧れでもない。
今でも、宇宙という言葉には反応する。
人類はどこから来て、どこへ向かうのか。
地球の外には何があるのか。
文明とは何か。
人間はなぜ、まだ見ぬ場所へ行こうとするのか。
そういう問いに、ずっと惹かれてきた。
若い頃にエジプトを訪れ、ピラミッドを見たときの感覚も、今でも自分の中に残っている。
あの巨大な構造物を前にしたとき、私は単に観光名所を見ていたのではなかった。
なぜ人は、これほど巨大なものを作ろうとしたのか。
本当に人だけの力で作ったのだろうか。
何を信じ、何を見て、何を未来に残そうとしたのか。
そこには、現在の自分たちとは違う時間感覚と、空を見上げる人間の本能のようなものがあった。
古代文明への興味と、宇宙への興味は、私の中ではどこかでつながっている。
人類は地上に巨大な構造物を作り、星を読み、神話を作り、やがてロケットを飛ばした。
時代は違っても、人間はずっと空を見上げてきたのだと思う。
そして今、その延長線上にSpaceXがあるように見えた。
SpaceXは、ただの投資対象ではなかった
もちろん、SpaceXは企業である。
企業である以上、投資対象としては冷静に見る必要がある。
宇宙開発という言葉が魅力的だからといって、何も考えずに資金を入れていいわけでもない。
上場直後のIPOには、独特の熱狂がある。
話題性が高ければ高いほど、初値は大きく動きやすい。
短期的には、期待、需給、投機的な資金の流入によって、価格が実態以上に振れることもある。
また、SpaceXにはイーロン・マスクという強烈な存在がある。
彼の構想力、実行力、発信力は大きな魅力である一方、人物依存のリスクもある。
経営者の影響力が強い企業ほど、その人物に関するニュースや発言が市場心理を揺さぶる可能性もある。
正直に言えば、イーロン・マスクという人物への期待も、今回の申し込みの気持ちの中にはあった。
彼が見ている未来に、間接的ながらも参加してみたいという感覚もある。
かといって、SpaceXを過度に礼賛するつもりはない。
これは私の主力投資ではない。
資産戦略の中心を崩してまで買いに行く対象でもない。
100株申し込んで、当選は3株。
この結果は、ある意味でちょうどよかったのかもしれない。
今後、よほどのことがなければ、さらに大きく買い増すことはないと思う。
けれど、宇宙へ向かう航路に、たった3株ではあるが、ほんの小さな旗を立てることはできた。
私にとってのSpaceX IPOは、あくまで夢枠であり、観測枠である。
ただ、その夢枠という言葉の中には、思った以上に深い意味があった。
BTCは主力艦、SpaceXは宇宙への観測艇
私はビットコインを長く観測してきた。
ビットコインに惹かれる理由は、単に価格が上がる可能性があるからだけではない。
もちろん投資対象としての魅力は大きい。
しかし、それ以上に、ビットコインは「価値とは何か」を問い直す存在だと思っている。
国家が発行する通貨ではない。
中央に管理者がいるわけでもない。
それでも、世界中の人々が価値を認め、保有し、送金し、守ろうとしている。
ビットコインは、価値の実験である。
そして私の資産艦隊において、ビットコインは主力艦である。
個別株、信用取引、日経225先物、オプションの投資を通じて、最終的に行き着いた場所でもある。
では、SpaceXは何か。
私には、SpaceXは人類の拡張実験に見える。
地球上の経済、国家、制度、金融市場の中だけで完結するのではなく、人類の活動領域を宇宙へ広げようとしている。
ロケットを飛ばし、衛星網を作り、火星を視野に入れる。
それは単なる事業というより、人類がどこまで行けるのかを試す実験のようにも見える。
ビットコインは、価値の境界を揺さぶっている。
SpaceXは、人類の活動領域の境界を広げようとしている。
一見まったく違うものに見えるが、私の中ではこの二つはつながっている。
どちらも、既存の常識の外側へ向かっている。
どちらも、今ある制度や前提だけでは説明しきれない。
そしてどちらも、未来が本当にそうなるかどうかは分からない。
だからこそ、観測したくなる。
SpaceXの3株は、資産艦隊でいえば、主力艦どころか小さな観測艇にも満たない規模かもしれない。
けれど、宇宙へ向かう小さな参加権として、艦隊の片隅に加わった。
3株という小さな当選は、むしろその位置づけに合っている。
大きく戦うための株数ではない。
宇宙へ向かう航路を観測するための、小さな参加権である。
「無理だ」を突破する企業に惹かれた
多くの人が「そんなことは無理だ」と考えてきた領域に、SpaceXは現実の技術と事業で踏み込もうとしている。
会社生活の中で感じていた疑問も、今回のSpaceXへの関心とどこかで重なっている。
多くの企業では、安全率を高め、失敗を避け、確実な範囲の中で仕事を進めることが重視される。
それは組織としては正しい。
しかし、その空気の中に長くいると、どこかで閉塞感を覚えることもある。
「無理だ」
「できない」
「前例がない」
「リスクがある」
そうした言葉が、思考や行動を見えない檻に閉じ込めてしまうことがある。
その意味で、SpaceXは私にとって、そうしたマイナスの空気を突破していく企業のように見えた。
無理だと言われてきたことに向かって、現実の技術と資本と行動で踏み込んでいく。
そこに、人間の思考と行動の限界を超えていくような期待を感じる。
その期待に、私はワクワクしているのだと思う。
私が手にしたのは、株そのものなのか
SpaceXのIPO当選は、表面的には株を手に入れたという出来事である。
証券口座から申し込み、抽選を待ち、当選し、株式を取得する。
上場後には株価がつく。
上がれば利益になり、下がれば損失になる。
そこから目をそらすつもりはない。
投資である以上、リスクはある。
夢があるから損をしてもいい、という話でもない。
むしろ、夢がある対象ほど、自分でルールを持って参加しなければ危ない。
だが、今回の3株当選には、単なる値上がり期待だけでは説明できない感覚がある。
私が手にしたのは、株そのものなのだろうか。
それとも、宇宙へ向かう人類の航路を、少しだけ株主として観測する権利なのだろうか。
そう考えると、今回の当選は自分の中で少し違った意味を持つ。
SpaceXの未来への期待度は大きい。
上場直後の値動きにも注目が集まるだろう。
長期的にどれほどの企業価値へ成長していくのかは分からない。
それでも、宇宙へ向かう人類の試みに、自分の資産のごく一部を置くことになった。
それは精神的な投資であり、同時に観測でもある。
正直なところ、投資家目線というより、価格の上げ下げはどうでもいいと思う自分もいる。
もちろん、実際にはどうでもいいわけではない。
小遣い程度とはいえ、損失が出れば面白くない。
それでも、この3株には、価格だけでは測れない意味がある。
宇宙を見上げ続けてきた自分がいた
今回、SpaceX IPOに申し込み、そして3株当選してみて、あらためて気づいたことがある。
私は、ずっと宇宙を見上げ続けてきた。
今も、家のベランダでよく空を見上げる。
月を見ている。
それは、毎日天体観測をしているという意味ではない。
専門的に宇宙工学を学んできたという意味でもない。
ただ、自分の中のどこかに、ずっと宇宙への関心があり続けた。
古代文明に惹かれたこと。
ピラミッドの前で感じた不思議な感覚。
星空を見たときの、自分の小ささと世界の広さ。
人類はこの先どこへ行くのかという問い。
そうしたものが、SpaceX IPOという出来事をきっかけに、3株の当選という小さな形で表に出てきた。
投資という形を取っているが、根っこにあるのは好奇心なのだと思う。
人は年齢を重ねると、夢を失うのではない。
現実を知った上で、それでも見続けたいものだけを選ぶようになる。
私にとってSpaceXのIPOは、単なる個別株投資ではない。
宇宙を見上げ続けてきた自分が、人類の次の航路を少しだけ株主として観測してみたいと思った。
その静かな好奇心が、今回の申し込みにつながったのだと思う。
100株申し込んで、当選は3株。
数としては小さい。
けれど、意味としては十分だった。
私の艦隊の主力は、これからもビットコインである。
だが、その艦隊の片隅に、SpaceXという小さな観測艇が加わった。
宇宙へ向かう航路の端に、ほんの少しだけ自分の名前が乗った。
そして私は、何才になっても、この好奇心はなくならないと思う。



